机の上で練った計画は予想外の展開に、

始まってから今日で丁度一週間。何ヶ月も机の上でパソコンを使い、時には三角定規と鉛筆で描いた構想、実際こうして本番が始まると、自分の中だけで考えていた事は思い通りには進まない。

計画は思い通りでの順番では進んでいないのだが、予定より早く家の基礎を作れる段階まで来た。自分の予想では今の段階が来るまでは最低1ヶ月はかかるだろうと思っていたのだが、今日一週間目にして来てしまった。

こんなに、早くこの段階に来れたのは、工事を仕切る棟梁のオーガナイズ能力が凄腕だからだ。

この棟梁は、建築中に絶対に材料を切らすことが無いように先の先まで考えて材料を発注をかける。だから今までの経験では見たことない量の資材の注文を出してくる。

これが僕らの資材倉庫、今までの経験だとせいぜい一度に注文するセメントの量は20~30個、しかし今回オーダーしたセメントの量は400個基礎、壁を上げるまでのセメントを一気に注文し、半分は現場に残りの半分は資材屋にキープしてある。

ここには少ししか無いが鉄筋だって、この何倍もの量を一気に注文している。少しずつ注文していくと最終的な資材代金がどれぐらいになるだろうか?と工事中盤を過ぎないと予測がつかないのだが、工事が始まる前から基礎、壁揚げまで使う資材を全部、買い付けたほうが私にとっては計算がしやすくて良い。

スンバワではバリ島と異なる資材の計算方法や注文方法があることがわかり少しだけ驚いたことがある。それは窓枠の注文方法、私の知っている限りでは窓枠全部の長さを測って、その合計の長さ×1mの価格で金額をだす。しかしここスンバワは一つの穴に対して値段が統一料金なのだ、少しわかりにくいと思うので説明をすると、四角の窓枠、縦200cm横100cmの木枠、縦60cm横60cmの全く同じ素材の木枠の料金が同じなのだ、これにはどうにも納得できかったのだが、どこの店に行っても、計算方法は1枠の値段なのだ。木枠が完成するまでには1ヶ月以上かかると言う事で注文をしないと後々工事がスムーズに進まなくなるので、渋々注文を入れた。

それで家に戻りインターネットで色々調べて見ると、ジャカルタなどの大都市で注文する木枠の値段よりも大分安いことを発見した。あそこでお店の人になんで「そんな計算方法なの?高くないか?」などクレームをつけなくて救われたな。と思った。

地下水を掘るまで、しばらく時間があるので給水車で水を運んでビニールシートでキープ、こんな光景を見ていると22年前に水道も電気も無かったビンギンで、secret gardenを作ってたときの事を思い出す。

今もあの時と同じような作業をしているけれど、あの時は携帯もパソコンもない中、建築完成までどれぐらいの金額がかかるかもわからず、「ギリギリのところでやってたなー。」と思い出す。

建築イメージや明日の仕事内容、それとお金の計算など頭を働かせ過ぎて寝れない夜が良くあった。しかし今はそんな夜は一度も訪れない。経験を積んで緊張感が薄れてしまったのだろうか?

しかし一つだけ22年前と同じ事がある。どうやら私は建築の仕事が始まると急にサーフィンから興味が薄れるようだ。スンバワにきて17日間が経つがサーフィンしたのは3回だけ。明日に良い波が来ようがサイズが上がろうが、そんな事は今は他人事だ。

ドンドン段取りをして毎日現場が動いて完成に近づいて行く姿を見るのが今の一番の楽しみだ。

自分で気がついているが、どうやら私は建築の仕事がかなり好きなようだ。

secret gardenを作り始める前に。secret gardenを作るためにオーストラリアからバリ島に渡る理由で別れてしまったガールフレンドのビッキーが、どういう理由なのだがわからないが「yuu。貴方は建築の仕事が向いているのよ。」と言われたのを今でも印象深く覚えている。