名前ももらい居場所確保した犬

3ヶ月の日々をかけて、堂々我が家(大原家)に居場所を確保した近所からのはぐれ犬。今は立派にモカと言う名前も名付けてもらい、いっちょ前に「ワン、ワンワンワン」と吠えるようになり、番犬としての役割も果たしている。

9月この家に住み始めたばかりのときは、1mほどの高さの家を囲った塀を簡単に乗り越え敷地にはいって来る、やたらと身体能力が良い成犬、それに人の目を盗んで食べ物を漁ろうとしている猫がよく出入りをしていた。

現在借りている家は主に外国人向きに貸し出している家で借りての殆どは西洋人だと思われる。その身体能力が良い犬と猫は動物を優しく扱う西洋人から餌を与えられることが多かったのだろう。

だから私達家族がこの家に引っ越してきたら、「よし人間が来た。餌を貰いに行こう。」という魂胆で、我家に良く出入りをするようになったのだろう。

そんな彼らの魂胆にまんまと引っかかり、自炊をしている我家の残飯や不要な鶏や魚の骨を与えてた。こちらとしても部屋に生ゴミがあると臭うので、残飯を動物達に処理してもらったほう助かる。

はじめはそんな事がきっかけだったのだが、どこからその情報を嗅ぎつ、お腹を空かしている近所の動物たちが我家の残飯を求めて大集合するようになってしまったのだ。

そこにはじめにいた、成犬、猫に加えて、子犬と10匹ほどのひよこを連れた鶏のお母さんも新入りで入り、犬、猫、鶏の3種の動物がムツゴロウ王国の様に仲良く餌を漁っていた。

そんな状況になり、こちら人間側としても公平にはならずに、まずは子犬、その次に猫、食べ散らかしを成犬と鶏親子が片付ける。という順序が出来上がっていた。

そうするといつの間にかプライオリティーを持っている子犬と猫が仲良くなり、成犬が漁場を一歩子犬達に譲ったのか現れなくなってしまった。

そのころ犬はまだ猫よりもサイズが小さく、餌の取り合いでも猫に負けていた。メスの子犬とメスの若い猫は餌の取り合いもするけれど、遊び相手としてじゃれ合い仲良しな犬と猫の関係になって行った。バリで何匹もの犬を飼っていた我々家族も犬と猫が仲良くしている、はじめて見る珍しい光景に喜びを感じ、スンバワハッピーハウスが完成したら犬と猫、そして庭鶏も全員連れて行こうと話が盛りあがっていた。

子犬の成長は人間の赤ちゃんと違い1週間も経つと以前とは違うサイズに成長し、身体の力や動きも増していく。ついこの前までは猫に餌を奪われていた犬はあっという間に猫よりも大きな身体になり、猫よりも強い立場に逆転してしまった。でも依然としてじゃれたり、遊んだりと良い仲に見えた。

しかしそのじゃれている姿を見ていると、犬の成長に連れ嫌がっている猫を必要以上に絡んで首根っこをあま噛みで押さえつける光景も見るようになり始めた。

そんな事が置き始めてから数日後、「そういえば最近鶏の家族が来ないので、残飯で米粒だけが食べ残されているなー。」と思っていた矢先に芝の庭のど真ん中で、ひよこの死体を発見した。「ひよこが死んでたけれど。」と奥さんに伝えると、「犬が遊んでいる内に殺してしまったのでは。だから最近鶏の家族が来ないのよ。」と返事があった。この頃の犬の成長と行動を見ていると、それを聞いて私も「そうだな。犬が殺してしまったのだ。」と納得できた。

鶏の家族が現れなくなってからまもなく、猫も現れなくなってしまった。動物を可愛がらない情を入れない私だけれど、実は犬と猫が仲良くしている姿を見るのは楽しみだったので、「自宅が完成したら2匹とも連れて行こうと思ってたのに。」とそんな姿見れなくなる事に少しガックリした気分でいた。

猫が来なくなってから1週間程経ったとき家の庭に出ると異臭を感じ始めた。バリの家でもよくある事でネズミやトカゲが死んで亜熱帯の気候の中放置しておくと悪臭が出るのだ。大体3~4日もすると収まるけれどとにかく独特の臭い匂いだ。「どこに動物の死骸があるかもわからないし我慢するしかないな。」と思っていたのだが、匂いが始まった翌日の朝、奥さんが「見て、あそこに猫がしんでいる。」と庭の済にあるパームツリーの日陰電気うじ虫だらけで体内ガスで膨張した猫の死骸を発見したのだ。

鶏の家族が来なくなり、猫もこんなにも風になってしまった。犯行現場は見ていないけれど、これは犬が殺してしまった事とすぐに分かった。

ちなみに犬はピットブルと野良犬のハーフ、猫と遊んでいた時、猫の首を噛む姿などを見ていて、どうも今まで飼った犬とは違う動きをすると思っていたけれどこれが「狂犬ピットブルので血」ということが分かった。

動物を可愛がらない様にしている私だけれど、かわいいヒヨコに少し情がはいってしまった猫まで殺したハーフピットブル犬のモカ。犯罪者の様に見えて可愛がる気が全く起きない。

我が家にはカワイイ小さな人間の子供たちもいるので、次は人間の事を襲ったら大変なことになるので、そうならない様に思いっきりスパルタ教育をしつけて行くつもりでいる。