11月になってからは乾季に吹く東寄り風が徐々に弱まりはじめ、レイキー地区にはベストサーフィンシーズンが到来、先月まではグラッシーなコンディションとなるのは早朝のみで、10時を回る頃にはサイドショアに変わってしまっていたが、最近は昼近くまで無風が続き、昼過ぎからゆるいサイドショアに変わる。しかし先月までと違うところは夕方とは呼べない早い午後にはスコールが降り始め、それまでサイドショアでボヨついてしまった海面を真っ平らに整えてくれる。
これからインドネシアは本格的な夏が始まり4~10月までの乾季とは異なった気圧配置になるので、サーフィンにはあまり良いシーズンではない。しかしここレイキーエリアは、唯一これからの雨季からがサーフィンシーズンとなる。
数週間前からコロナ入国規制が緩和されて海外からもサーフィンに来ようと思えば来れる状況だが、何故か海の中はまだガラガラ。
今回の滞在は前回までのサーフィン合宿では無く、スンバワドリームハウスを完成させる使命でここにいるので、せっかく海はガラガラなのにサーフィンは程々しかしていない。
今日は朝の現場チェックを終え家に戻ると11月らしくまだ風が弱い、家の前のナンガスを見に行くとそこそこのサイズの波が入っていた。ロングウォールのレフトが綺麗な形で割れ、サーファーの姿はどこにも見えない。
そんな海を見ているとすぐにでもパドルアウトしてしまいたくなるが、しかし昼にかけてドンドン潮が上げるてくるのでナンガスには不向きのコンディションとなる。
時計を見るとまだ朝9:30。奥さんのキキは息子ロブチェを幼稚園に送りまだ帰ってきていない。1歳3ヶ月の娘も連れて行ったので家には私一人だけ。普段なら「パソコンに向って仕事をこなそう。」と思うのだけれど、今日は「ペリスコープに行こう。」と急に思いついた。
昨日までなら仕事を済ませてからのサーフィンでないと波待ち中に仕事の事を色々と考えてしまい心が落ち着かないのと、少々の罪悪感があったが、なぜか今日は気持ちよくサーフィンに出かけられた。
9月からの今回の滞在で初ペリスコープ。思い出して見ると前回ここでやったのは6月だから、実に5ヶ月ぶりとなる。ペリスコープまでは借家のナンガスからは誰もいない海岸を15分ほど歩くと到着する。湾曲になっている海岸を半分ほど歩いたところから、沖で波待ちしているサーファーの数も分かる。まだ少し上げ潮が足りないけれど肩ぐらいのファンウェーブで黒のラッシュガードと白のラッシュガード、2人のサーファーたちが見えた。
ゆっくりと沖に向かいパドルアウトすると、あまり波にがっつかない系の西洋人サーファーたちだった。人が少ない海でもガツガツ乗るサーファーがいるとペースが乱れるので「あーよかった」と思い、3人だけで順番に波を乗っていた。
潮が上げ始めて来てセットの数が増えて来ると、「この時間帯を狙ってました。」かのように1人、2人とサーファーが現れ始めた。岸から沖に向って来る女性サーファーが私の方を見てニコニコしながら手を振っている。
勿論知っている顔だが、まさかスンバワの海で会うとは予測もしていなかったので、初めはぎこちない挨拶となってしまった。
「あれ、そういえば昨日インスタグラムの投稿でバリに居る投稿してるの見たけれど、いつからレイキーにいるの?」と聞いたら「5日前から」と返事が帰ってきた。
そして「バリで働いているホテルの仕事はまだ退職に追い込まれず、続けられているの?」と聞くと、「まだなんとか大丈夫。」と返事が帰ってきた。
波数が多く、ラインナップにいるサーファー全員が波に乗れる状態だったので、波に乗って戻ってきては彼女と会話をしてと、どちらかが波に乗るごとに会話が途切れてしまうのだが、数本の波に乗りまた会話が始まったときに、「遊さん。Miumiuだよ。」と彼女は言ってきた。
彼女は台湾人で瓜二つの双子の姉妹がいる。私はmiumiuと姉妹両方とも知っているが、どちらかというと姉妹のIvyの方が接点が多く、勤務先も知っているし、インスタグラム、フェイスブックも友達でつながっている。逆にmiumiuとはつながっていない。
うん、miumiuの言うとおり、Ivyかと思いながら会話してたんだけれど。でも不思議なのは私がivyと間違えている事は分っているはずだったのに。ivyがアップしたインスタグラムの投稿とホテルの勤務状況についてivy本人のように回答したことが。
ペリスコープでのサーフィンを終えて思い出してみると双子と言うのはテレパシーのような物でつながっているのかなと。
双子が似ているのは当たり前だけれど、このmiumiuとivy姉妹は本当に瓜二つ。ましてや海の中なんかで会うとどちらがどちらか分からない。
予測もしていないスンバワの海で久しぶりに会って、「貴方はmiumiu,ivyどっちなの?」と聞くのも失礼と思ったのがこういう結果になってしまった。「悪いのは私では無い。顔が似すぎの貴方達だ。」