今日もビンギン一番乗りは金木さんだ。

お酒を飲まない生活とスンバワ滞在での早寝早起きが見に付き、今日も5時台にスッキリと目が覚めたが年間で一番日が短い6月のバリはこの時間でも外はまだ真っ暗だ、先日までの2日間は太陽が出ることも無い悪天候で普段より夜が明けるのが遅かったが、今日は6時過ぎに空が明るくなってきた。

もう数日前から毎日何度も見るマジックシーウィードの波情報で波が小さい事は知っていたが、毎朝の日課で起きたらすぐに海を見ないと一日が始まらない、何も期待せずに海を見に行くと波は腰ぐらいで2人のサーファーがいた。。

一人は欧米人で黒のウエットスーツを着ているサーファーで、もう一人は金木さんだ。

ビンギンに半移住している金木さんは毎朝必ず海にいる。今日の様に波が小さくても、大きくても、潮が引いてても、上げていても、ほぼ毎日ビンギンの波を一番乗りで乗っている。

通常は2ヶ月バリで過して日本に3週間戻り、またバリで2ヶ月過ごす生活を丁度還暦になる頃から4年ほど続けていたが、コロナで各国封鎖が始まり1年以上バリに戻って来れなくなってしまった。

普段バリ島で過ごす時間が長いので日本ではサーフィンをやらない、しかし16ヶ月ほど前からコロナで長いこと日本に閉じ込められたので、夏のウエットスーツが必要でない時期にはサーフィンにでかけてたようだ。でも今年の夏でなく去年の夏なので随分長いことサーフィンしていない事になる。

先月の月始めに久しぶりにお会いしたときは、「どーかなー?もうパドルも出来なくなっているかも知れない。」まずはリハビリからスタートすると言ってたのを覚えている。

それから2ヶ月近い日々が経つが今日も朝からしっかりとリハビリサーフィンを続けている。年齢も65になると普通の人なら、動かなくなった身体に喝を入れ、もう一度サーフィンができる様に努力するのが億劫になり、「自分は歳だから、身体がついていかない。」など理由をつけて諦めてしまう人が多いだろう。

金木さんとは今も覚えているが私が34歳の時にはじめて知り合った。当時金木さんは48歳、若い頃にサーフィンをしていたらしいけれど、この時には完全にサーフィンは辞めていた。と言うか全くのビギナーと同じだった。

金木さんのお仕事は熱帯魚やら珊瑚を扱う輸出入業なのでバリ島をはじめ南国の海にはよく仕事で訪れてらしい、当時はサーフィンの事は頭の片隅にもなく仕事に没頭していたが、何かのきっかけでたまたまウルワツを訪れたらしい、そこでサーファー達が波に乗る姿を見ていて、若い頃にやっていたサーフィンにもう一度チャレンジしたい。と思い私に連絡をくれたのだ。

もうあれから17年が経つ。あの頃脂肪がこってり付いた身体で当時乗っていたロングボードを運ぶだけで「ハーハー」と息が上っていた金木さんだが、今はヨガマスターの様にシェイプされた身体になり、勾配がきついポイントへの登り下りも難なくこなせる。

そして現在65歳になっても大きなハードな波にも乗れる。17年間日々の小さな努力を積み重ねてきた結果だろう。

お酒を飲まない(飲めない)で寡黙にやりたい事をコツコツと続け、決してブレない強い心を持っている金木さんは、secret gardenに来る同世代の呑兵衛の方々からも一目置かれているサーファーだ。