先日、ウエストスンバワに長期滞在をしている慎太郎君から電話があった。
彼と始めて出会ったのは確かコロナが始まる前の乾季、たしかそれも乾季終盤の9月か10月だった事を覚えている。
secret gardenのゲストの方々とコンちゃんのお店「シャカリキレストラン」で宴会をしたときに、誰かの誘いで慎太郎も宴会の席に参加したのだと思う。
周りは、年齢層の高いsecret gardenのオヤジ達の中に一人だけ年齢層が違う若者が混じっていて、力みなぎる若者のオーラでオヤジたちもかなりハイテンションになり皆で酒を飲み交わした夜だった。でもそんな若者呼ばわれの慎太郎も年齢は30代前半の大人だ。
コロナが出始めた頃、バリでは厳しいサーフィン規制が行われ、事実上サーフィン禁止となった期間がある。そこそこ長い期間だったので誰もがサーフィンをしたい気持ちに駆られていた。しかしその当時はオートバイにサーフボードを乗せて走っているだけで、周りからは白い目で見られたり、時には警察にも捕まってしまう。そんな時間の最中だった。
だからまだ力有り余る30前半の慎太郎にはイライラする時間だったのだろう。サーフィン規制が始まり数週間経った頃にビールを持って彼が訪ねてきた。飲みながら少し話をしていると「secret gardenにバイクとボードをお貸してくれませんか?」とお願いに来たことが分かった。
コロナでサーフィン禁止令が出ていたが、ビンギンに歩いて行けるsecret gardenからは、こっそり朝一のサーフィンが楽しめたのだ。
私は彼のお願いを簡単に応じた。
それからしばらくした時に、今思えば誰もゲストがいないsecret gardenに少しでも貢献しようと思っての行動だったのだと思う。「長期でsecret gardenにいても良いですか?」と聞いてきたので、私は二つ返事を返した。
それから乾季が終わる頃まで数ヶ月の間、secret gardenで寝泊まりをしていた。その時は奥さんのキキが長女出産の為、数カ月間実家に戻っていたので家には私一人、周りが静まり返ったsecret gardenのカウンターで、毎晩2人夕食を共にしていた。
「去年の話だけれど思い出すととても前のように感じる。あの時はコロナがではじめでピリピリした空気感だった。なんだか戦争の中に生きている気分だったなと。」
丁度一年前の11月、彼はウエストスンバワへ行き、私はレイキーに行き。それからこの一年間に彼とあったのは2度、それも4月、5月に会ったきりで、それからは音沙汰も無かった。
数日前の昼間、マイハウスでパソコン作業をしているとwhatsupのアプリから電話がかかってきた。電話に出る待ち受け画面を見ると慎太郎からの電話だとすぐに分かった。
スンバワに来て2ヶ月経つが、日本人とはまだ会話をしていない。慎太郎と電話で日本語が話せるからなのか?分からないけれど、ワクワクしながら電話を取った。
手短に社交辞令的な挨拶は終わらせて、「ウエストスンバワに土地を買おうと思っています。」と彼から本題を切り出してきた。
遅れてしまったが彼の経歴と職業は世界のサーフポイントを回りながらウェブサイトの運営事業から入って来る収入で生活をしている。この3年ほどはインドネシアにいてウエストスンバワには1年近くいる。そんな放浪生活をしている彼だがとうとう自分の足を地につける土地に出逢ったのだろう。
彼は土地を買うに対しての注意点や名義、書類関係の事を訪ねて来たので、私は一つ一つ丁寧にアドバイスを送った。
インドネシアの田舎はまだ土地の価格がびっくりするぐらい安いので、長期滞在している外国人月に土地を買おう。という話はよく聞く話だ。
もしかしたら彼も今のノリだけで土地を買うなんて言ってるのでないか?と半信半疑で話を聞いていたが、どうやらそうでも無いことが分かった。
私は彼に質問をぶつけてみた。「土地を買ってスンバワに住むぞ。と思った今の気持ちは、人生の中で頻繁に起こる気持ちじゃないよね。」と聞いてみると。
こんな心境になったことは無い、不安な気持ちやどうにもいたたまれない気持ちにもなる。でもどうしてもスンバワに土地を買って、お金を貯めてカフェと宿をやりたい。」と返事が帰ってきた。
「うーん。その気持ち分かる分かる。」私も現在レイキーで家を建築中だが、ただ家を建築しているわけでは無い、今まで住み慣れたバリと築いてきた仕事を後にして、安定を捨てて、またいばらをかき分け新しい世界を作るのだから、不安も沢山ある。でも不安に負けてやりたい事を辞めてしまったら、もう次は無い。夢に向かうと言う事は不安と向き合って進むことなのだ。
そして本当にやりたいことなんて人生いきているうちに、そう何度も訪れない。だから慎太郎の「ウエストスンバワに土地を買って住む。」私は大いに後押しをする。
不安を乗り越えて前進しろ。これから来る大波に乗るには躊躇して後ろを振り返っては行けない。
イケイケGOGO慎太郎