1泊2日ロンボク島の旅

一昨日の朝、小雨の中奥さんのキキを10年間愛用している。ウルトラマンカラーのyamaha125ccの後部座席に乗せ出発した。

8月のバリは太陽が出ないと日中でも涼しく、中距離のドライブでおまけに小雨と来たら、普段は着たくても着れない防寒防水の登山服の出番だ。年に数回しか着られない長袖、長ズボン、それで調子のいい事にクタからサヌールを抜けて雨の勢いが増してきた。

雨で路面はずぶ濡れで視界は悪く運転しにくいが久々に使う登山用具を身に着けれることを喜びながら、パダンバイの港へと向った。

丁度1年ぐらい前に十数年ぶりにきたパダンバイ港だが、それからは毎月1回ペースで利用しているのでフェリーに乗る手続きも手馴れたものになって来た。

前回バリ発のフェリーを利用した時と違う事は先月はじめからコロナ締付けが厳しくなり、乗船の際にワクチン接種証明書の提示が必要となった事だ。

私が先月スンバワ島滞在中にバリ島への出入りにはワクチン接種証明が必要となったのでスンバワと同じ州内のお隣の島、ロンボク島の病院でワクチン接種をし証明書を手に入れてバリに戻ってきた。だからその時の証明書で船にも飛行機にも自由に乗り国内移動ができる。一つ付け加えておくと、それに加え48時間以内に受けたコロナ陰性証明書も必要だ。

現在移動規制が厳しく取り締まれフェリー乗り場周辺はいつもより更に閑散としている。フェリー乗り場に入る入口には2人の警官が立っていて、ワクチン接種証明とコロナ陰性証明書の提示を求められた。コロナ陰性証明はフェリー乗り場でも15分も待てば検査が終わり証明書をもらえるが、たまに休み時間などで数時間待たされることがあるので、港に行く道のりの途中にあるクリニックで検査を受けて取得しておいた。

まずはコロナ陰性証明の書類を提示して警官はなれた手付きで名前、検査時間をチェックしていった。次はワクチン接種証明の提示だ。これはわざと携帯電話に画像で保管しておいて、もし「画像では駄目」と言われた場合に提示出来るように書類でも用意しておいた。

まずはキキが携帯画面を見せた。その途端私も携帯を取り出しキキの携帯を見ている同じ警官に「ワクチン接種証明これだよね?」と横入りする感じで画面を見せた。そうすると警官は「ウンウン」とうなずいて、後ろで待っている人を調べ始めた。

はじめから予想をしていたことだが、やはり偽造のワクチン接種証明書でも難なくチェックを通り過ぎれた。ワクチン接種証明書をなぜ携帯電話の画像で見せたかと言うと字が小さく偽造した部分までしっかり見えないだろうと考えた作戦の為だ。

私のワクチン接種証明書は本物だから問題無いが、キキの物は私のワクチン接種の名前、生年月日、接種番号、携帯電話番号をパソコンのペイントを使い一度消して、そこにオリジナルとは異なるフォントでタイプしたものだ。だから実寸で紙にプリントしたものをよーく見てみるとフォントの違いが分かってしまう。

一つ一つしっかりとチェックをしていないことも毎回の渡航時、コロナ陰性証明書をチェックされるので知っていたが、しかしワクチン接種証明書提示は初めての事なので、もしかしたら厳しく検査されるかもしれないと念には念をで、書類の証明はバッグに潜ませて、まずは小さい画面で読みにくい証明書の画像を見せることにしたのだ。

これで一つの問題点はクリアだ。今月下旬にはバリ島からスンバワに家族で移動する。そしてその先も数カ月間隔で行き来きする事になる。そこで偽造ワクチン接種証明書が使えないとなるとキキはスンバワに行けなくなってしまう。

そうバリ島では現在オンラインで予約をしてからで無いとワクチン接種ができない。それで先々まで予約が殺到していつ接種できるか分からない状況なのだ。でも今月中からスンバワへの移動が始まるのでワクチン接種証明書は必須だったのだ。

ロンボク行きの2つめの理由は、バリでは殺到していつ受けられか分からないワクチン接種だが、先月ロンボクの病院で第一回目の接種をしたあとに第二回目の接種日とコード番号が携帯電話に送られて来ていた事を数日前に思い出したのだ。

8月1日波が大きな日に今井君、のりさん、モトちゃんの3人がインポッシブルの大波に乗る前に家に訪れた時、バリでのワクチン接種の話を聞くと、皆口を揃えて今は中々予約ができないと言う事だったので、すでに予約番号があるロンボクの病院に第二回目を打ちに行こうと決めたのだ。

この先の展開を考えるとコロナ感染者が減ってもワクチン接種証明は義務化となり、そして時間が過ぎると証明書を持っている事が当たり前となっていくので、早めにもらっておいたほうが後々面倒な事が起きずに済むと思いわざわざ10時間もかけてロンボクに行ったのである。

ロンボクに行くまでの道中は雨、そしてチケットを購入して乗り込もうという時、今前の人がチケット買ってスルーして自分たちの番が来て「やっとフェリーに乗れるぞ」というときにチケットを発行するマシーンのトラブルが始まった。待てよ待てよと4時間、チケットマシーンは普及せず、最後はどこか遠くからコンピューターのエンジニアが来て、電動式で閉じられたゲートの合鍵を使い通せんぼされていた我々をマニュアル方式でお金を払い通してくれた。

そんなハプニングがあったものだからロンボクのホテルに到着したのは23時。翌日は朝イチから並んでワクチン接種の整理券をもらうので超早起きしなければならない。通常夕御飯は18時ぐらいにすませるので23時ともなるとお腹はペコペコだ、道端の屋台を発見してお腹を満たしてさっとシャワーを浴びて就寝した。

翌日は目覚ましがなる5分前の4:55分に目が覚めて5:30分の出発に備えてササッと支度をして宿を出た。

先月、浜さんと来たときは朝暗いうちからまばらに人がいたがこの日のワクチン接種会場はガラ空きだった。なんか変な予感がしたので近くにいるセキュリティーに尋ねると、ワクチン接種はバリ島同様オンライン予約が必要になっていた。

しかし私は初回で無く、2回目の摂取で予約のコード番号も送られて来ている。「だからオンライン予約は必要ないのだろう。」と思い会場が開く8時に合わせもう一度来ることにした。

ロンボクはイスラム教徒中心の島だが、バリ人ヒンドゥー教徒もいる。泊まっているホテルはそんな地域朝から美味しそうな豚料理を用意しているお店が数件あった。バリには多くの豚料理専門店があるが、そこでは見かけないメニューもあり味がバリのお店より格段に上だった。昨夜屋台で食べた鶏料理と言い、この豚料理といい、バリでは食べれない味、食べ歩きだけでマタラムの街に来ても良いなと思ったほどだ。

そんな美味しい朝ご飯を食べて時間が来たのでワクチン接種会場に戻るとすでに多くの人で賑わっていた。

ササッと2回目の摂取をしようと係員に予約番号を見せると、何百回と同じ質問をされあしらうように冷たい口調で2回目もオンラインで。と返事が帰ってきた。

予約番号があるのにと思ったが、ここはインドネシア。クレームもせず、さっさと病院をあとにした。

帰りのフェリーの甲板からロンボク島の景色を眺めながら、今月スンバワに行ってしまうしバリでワクチン接種をする事もできない。今バリにいるとコロナムードでそんな思想になっているが、スンバワに行ってしまうとコロナなんて他人事になるのも知っている。

もうワクチン接種するのに予約や病院で待つのも億劫なので、誰かから2回目接種の証明書を借りて、またお得意のペイントを使い修整すれば話は早い。この先、私もキキも偽造証明書を使うことに決めたのであった。