スンバワからノンストップ24時間で帰ってきた。

行きは途中1泊し2日間かけてたどり着いたバリ~レイキーバイク紀行だったが、レイキーからの帰路は4度のガソリン注入と2度の食事でストップしただけ。途中のカーフェリーで仮眠をとり丁度24時間でバリにたどり着いた。

17歳の少年をバイクの後部座席に乗せての帰路だったので、1人で小さなバイクを運転して来た往路よりも2人になると肉体的にも精神的にも疲れることだろうと思いレイキーを朝8時に出発した。

私の頭の中ではレイキーと同じスンバワ島内で1泊し、翌日一気にバリに向かうと言うプランが出来上がっていたが、7時間ほど運転し目的宿泊地に着いても、予想より身体が疲れていなかった。

まだ日は高い位置にあり、このまま走り続ければ夕方のフェリーに乗り隣のロンボク島まで行ける。いずれにせよバリに帰ることだし、もうそれならさっさと帰りたいという気持ちもあったので、少年に「大丈夫か?疲れていないか?」と尋ねると「全然疲れていない。それよりYuuは大丈夫か?」とキラキラした目で返事が帰ってきた。彼のその輝いた目を見ていたら、彼の人生において今回が初の自分の島(スンバワ島)から外に行くのだから希望が溢れ出ているのだなと感じ取れた。

それも手伝いスンバワ島で泊まるのはやめて、ロンボク島に行くとなると到着は夜になってしまうが、行けるところまで行こうとバイクを走らせた。

ロンボクには予定通り暗くなる頃に到着したり。もう出発してから12時間も経つ、しかし運転をし続けて頭の回路がおかしくなっているのか、そんなに時間が過ぎた感覚は無い、そして予想以上に身体も元気だ。

数時間前スンバワ島からロンボク島行きのフェリーに乗るときは、普段の就寝時間21時ぐらいにはどこかでホテルを取り仮眠しようかと考えてもいたが、このまま3時間かけてロンボクの西側まで行き、フェリーに乗込めば次はバリだと思うと、このまま行ってしまえと乗り乗りの気分になっていた。そして、「大丈夫か?疲れていないか?」と少年に聞いてみると、数時間前にスンバワ島で聞いたときと同じよう、キラキラした目で「疲れていない。」の返事だった。その顔を見ると早く初めて行くバリ島を見てみたい。と興奮を隠せない表情を感じ取れたので、レイキーを出発した朝には考えもしていなかったが、ノンストップでバリ島を目指す事になったのだ。

ロンボク島からバリ島行きのフェリーは乗船時間は5時間ほどだ、船のエンジンの音がかなりうるさく、普通の状態なら眠れない位の環境だが、疲れていたのか我々は小さなマットの上で数時間の仮眠を取ることができた。

バリ島についてしまえば、スンバワ島と違い、道は広く、綺麗に整備されたアスファルトに穴が空いていることなどは無い。快適にバイクを飛ばして朝8時前に40日ぶりの自宅に到着した。

今日の朝なぜ24時間ノンストップでバリ島に帰ってこれたのか?と考えていたら、その理由が分かった。レイキーを出発する時は絶対に一人の方が運転は楽だし気持ちも楽だと思っていた。確かに2人乗りより1人の方が運転は楽なのは変わりはなかった。しかし運転は不利な状況でも2人で方が気持ちが楽なのだ。一人で長距離運転の場合、疲れてしまった場合の事を考えるとどうしても、安全策を取り疲れきる前に休憩を取ろうと考えてしまう。しかし2人だと疲れたら運転を交代してもらえると言う逃げ道がある。それで精神的には大分楽になる事が分かった。

結局は運転交代する事なくスンバワ島ーバリ間を1人で運転したが、自宅に到着しても身体は元気だった。

昨日の朝からの久しぶりのバリの景色だが、長年生活して来た場所なので特別に感じる事もない、一昨日までいたスンバワ島が夢時間に変わり、またバリでの時間過ぎて行くのだろう。しかし少年の目には私と違ったバリ島が映っているはずだ

希望に満ちた17歳の名前はPINO

生まれた時から超貧乏が当たり前の彼はバリ島の裕福な子供達と違い、厳しい環境にも強い。バリ島に行きたい一心に外国人の私のバイクの後に乗って遥々遠くまで来てしまった。服はシャツとジーンズ1枚ずつとサーフィン用のトランクス1枚のみ、私が「早朝バイクで走ると寒いから靴を履いてきな。」とアドバイスしたら靴は履いて来たがサンダルを忘れて来たので、昨日は裸足で過ごしていた。所持金は日本円で3000円程(食事に交通費私が面倒見るのだが)普通なら不安になる金額だ。

現在secret gardenの1室で寝泊まりしているのだが、客室のトイレは外国人用なので西洋式で紙でお尻を拭くタイプ。

スンバワにはホテルなどに泊まらない限り、西洋式トイレに出くわす機会もほとんど無く、インドネシア人は大便の際もお尻を水で流し、トイレットペーパーは使わない。

私の察し通りに、彼はやはりトイレットペーパーで大便をする事は出来ないとの事だった。なので大便の際は部屋の綺麗なトイレは使わずに、水で大便を洗い流せる従業員用のトイレで用を足している。

彼がいつまでバリにいるのかは聞いていないが、毎度彼の行動を観察するのが楽しみだ。バリの都会の風に吹かれ擦れた心にはならずに何時までもキラキラした眼でいて欲しいと願う。